中医臨床では「婦人病の68%は肝胆に病因がある」

鬱は女性の場合、生理不順、不妊症なども伴うケースが多い。肝経は生殖器ともつながっている。肝病治療法を体系化した古典としては、清代の医師王旭高が著した《西渓書屋夜話録》が有名です。《治肝三十法》とも呼ばれています。

王旭高氏曰く、「およそ雑証というものは大抵肝病である。雑証の中で、肝病は十のうち六、七を占める。」また、曰く、「肝病は最も繁雑で、治療法は最も広範に渡る。」1993年、劉渡舟氏は《談談個人治療肝的体会》の一文において次のように言っています。

「清代の人、王旭高が著した《治肝三十法》は、肝病の発生、進展及び辨証の規律について概括的に要約を行うことで、肝病を核心とする整合性のある完成された辨証論治体系を作り出し、これにより、肝病の辨証と治療について大きな前進の一歩を踏み出すことになった。」

《黄帝内経》の奥義と《治肝三十法》について中国名老中医師による講義録

まず総論の理論基礎(陰陽昇降と治肝に関する《内経》及び《難経》原文の講義)、次に各論の《治肝三十法》各法につき、1原文の講義、2主症(辨証要点)、3症例研究(葉天士、王旭高、程門雪、劉保和)、4応用と総括、以上の形式で編まれています。

通常、医者同士の競争が激しい大陸において、名老中医が*主症*を公開することはありません。それは「技の核心」だからです。劉老師は、本講義録を編んだ理由として、以下のような経緯を話してくれました。

「私がついて学んだ老師の中で、誰一人として主症を教えてくれたことはなかった。張仲景ですらそれを隠している。中国には昔からそういった秘密主義なところがある。論文とは書かざるをえない状況下で書くものだ。」

本講義録を通して通常は師匠から弟子へとしか伝えられない*主症*つまり「名老中医の技の本質」をあなたは学び取ることができます。通常は大陸に10年留学しても学ぶことはできない内容。それを公開している本講義録(日本語版)は大変希少価値が高いものといえるでしょう。

《内経》《難経》における肝に関する生理、病理、肝病診断、治療方法についての摘録と解説〜《西溪書屋夜話録-講用与発揮-》より抜粋〜

7、肝足厥陰之脈,起於大趾叢毛之際,上循足跗上廉,去內踝一寸,上踝八寸,交出太陰之後,上腘內廉,循股陰,入毛中,過陰器,抵少腹,挾胃,屬肝,絡膽,上貫膈,布脅肋,循喉嚨之後,上入頏顙,連目系,上出額、與督脈會於巔。其支者,從目系下頰裏,環唇內。其支者,復從肝別貫膈,上注肺。(《霊枢・経脈》)

解説:古人曰く、「臓腑経絡を知らなければ、手始めに間違う。」だから、《夜話録》を学ぶには、まず以上の文言をよく覚えておかなければならない。例えば、 なぜ、男女性器疾病は総じて肝を治す必要があるのか、なぜ、肝氣が滞ると脅肋[脇下]と少腹[下腹外側部]が脹り痛むのか、また、なぜ、「肝開竅於目」なのか、なぜ、厥陰頭痛は主に頭頂痛として現れるのか、なぜ、上咽頭癌の発生部位が頏顙なのか 、総じて、以上の中から答えを見つけ出すことができる。

《西溪書屋夜話録-講用与発揮-》

目録

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本講義録の執筆者プロフィール

劉保和教授。1941年生まれ、河北医科大学教授、主任医師。第五期全国老中医専門家学術経験継承指導老師。中医学臨床実務に携わって50年。

1962年河北中医学院本科を卒業、1980年全国第一期北京中医薬大学中医学修士課程卒。人体氣運動基本模式とは、「枢軸—輪周—輻網」が協調しながら運行する円運動であるという理論を提出。脈診と腹診に長け、方剤を運用するには「主症」を掴む必要があると考える。


『「主症をつかむ」ことの臨床における応用は、主に方剤の運用上に現れてくる。効果ある各方剤には一つから三つの主症が対応していなければならない。ところで、よく見かけることだが、方剤学の教科書には一つの方剤につき主治部分に少なくとも四五個の症状、多い場合は七八個、更には十個以上の症状が羅列されている。よくこの方剤とあの方剤は主治症状が同じであるため、そのことが医師に臨床上で、各方剤を区別して使用することを困難にさせ、そのため、期待する治療効果が得られないという問題である。しかしながら、各方剤の本質となっている主症を見極め、その本質に基づいて区別すれば、各方剤間で重複している多数の派生的な主治症状も理解することができる。筆者の「主症をつかむ」経験については、《夜話録》講義の中でお話しする。』


目下、癌治療の研究に重点的に携わり、一般的な所謂「抗癌」の中医薬は使用せず、張仲景《金匱要略》における『大氣一轉,其氣乃散』理論のもと、氣の円運動を周す陰陽昇降の方法を採用。各種、中、末期癌に対して、中医薬のみの使用で良好な効果を得ている。

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